住吉の長屋は、打放しコンクリート(うちはなし・うちっぱなしコンクリート)で有名な「世界のANDO」、安藤忠雄の初期の代表的建築作品だ。
昭和44年(1969)、大阪に安藤忠雄建築研究所を設立し、個人住宅を多く手がけていた安藤忠雄の出世作となり、大規模な公共建築ではない小さな個人住宅として初の日本建築学会賞を受賞している。
本作品以降もコンクリート打放しと幾何学的なフォルムによる独自の表現を確立し世界的に高評価を得た。
しかし、安藤忠雄の原点でもある住吉の長屋は、住宅建築として最も賞賛を受けたと同時に、最も非難を浴びた建築でもある。
本来、大阪や京都の長屋は、中庭・通り庭・後庭を備えることを理想とする住宅様式ですが、敷地面積によっては、採光などが良好でない住環境となることも少なくない。 安藤自身、大阪市旭区の長屋で幼少期を過ごしたため、生活にとって重要である通風、採光、日照などの確保を知悉していたことから、大胆なデザインによる革新的な住宅が着想されたとも言われている。
画像では判別できないが、建物を3分割し中央に中庭を配置することで、伝統的長屋で見られる中庭、通り庭としての機能を持たせている。
そこで、この中庭の不便性が物議を醸しました。全ての部屋は中庭を通じて連続しているため、雨の日は傘を差して、また寒い冬場は寒さに耐えて部屋から部屋へと移動しなくてはならない。
大阪市住吉区
設計:安藤忠雄/安藤忠雄建築研究所
竣工:昭和51年(1976)
施工:まこと建設
構造:RC造
住吉の長屋については、現在も施主の方の個人住居なので、住所、所在地は当然のことながら秘密にしておく。
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