2014-10-30

輸出繊維会館/村野藤吾

村野藤吾が設計した輸出繊維会館のファサードは、黄褐色のイタリア産トラバーチンの壁面に整然と並ぶステンレスサッシのアール、角を丸くした窓が印象的だ。大きな船をイメージしてデザインしたのではないだろうか。

堂本印象による壁画は、船倉のイメージで構成されている。
壁画は南側エントランスから入ったロビーと地下にいたるまで、3~4cm四方のガラス製のタイルが貼り込められていて、多彩な色がとてもカラフルで印象的だ。同氏によるタペストリーは、地下のサロンの壁面にも掛けられている。

階段の手摺の曲線美、階段に至るフロアのまるで楽器のようなカーブは、まさに村野ならではのデザインだ。

西玄関にはユニークなドーム状のキャノピーが設けられている。

かつて船場と言えば、商都・大阪の中心地として栄えた。そして、その隆盛を支えていたのは、繊維を取扱う会社だったといっても過言ではないだろう。村野村野藤吾が、今に息づく船場の実業家が集うに相応しい空間を創出した。

大阪市中央区備後町3-4-9 
設計:村野藤吾/村野・森建築事務所 
竣工:昭和35年(1960) 
施工:戸田組 
構造:SRC造、地上8階・地下3階・塔屋3階


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