2015-04-14

伊達娘恋緋鹿子‐火の見櫓の段

過去の上演記録を紐解けば、この外題(演目)が上演された回数は多い。それは文楽が他の古典芸能または現代劇との決定的に異なる要素、人形劇ならではの舞台演出を実現できるからだろう。
人が火の見櫓に梯子で上ったとしてそれはそれで演技にはなるが、それを人形が上ると同じ場面で拍手が起こる。観劇する者は、人間では簡単なことを人形がどうやって演じるのか?そう思っている。それに予想以上の演出と技で応える。それが人形浄瑠璃文楽の真骨頂だ。選択肢の中から「敢えて人形でやる」というのではない、人形でしか得ることのできない感動を文楽は大昔から知っていたのだ。

伊達娘恋緋鹿子‐火の見櫓の段

安永二年(一七七三)四月大坂豊竹此吉座の初演、作者は菅専助ほかの合作。江戸の八百屋の娘お七が放火の罪で処刑されたのは天和三年(一六八三)。お七の罪は火の見櫓の半鐘打ちとし、華やかな演奏と独特な櫓上がりの演出で、冬の寒さとお七の熱い情念が鮮やかに演じられます。

-平成27年「4月文楽公演」パンフレットより


人形浄瑠璃文楽 平成27年4月文楽公演

第1部(午前11時開演)
靭猿(うつぼざる)
吉田玉女改め二代目吉田玉男襲名披露 口上
襲名披露狂言
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)‐熊谷桜の段/熊谷陣屋の段
卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)‐平太郎住家より木遣り音頭の段

第2部(午後4時開演)
絵本太功記(えほんたいこうき)-夕顔棚の段/尼ヶ崎の段
天網島時雨炬燵(てんのあみじましぐれのこたつ)-紙屋内の段
伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)‐火の見櫓の段


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